昨今巷で主流の座をつかみつつある「耳を塞がない」オープンタイプワイヤレスイヤホン(OWS)数種類を横櫛で比較レビューする企画を進行中。今回はその比較対象の製品の中からXROUND TREKをショートレビューします。
クラファン育ちの台湾ブランド
最近では優先にせよワイヤレスにせよ中国メーカーが躍進しているイヤホン界隈ですが、今回のこのXROUNDは台湾メーカー。そしてこのメーカーはクラウドファンディングを結構活用していて、日本でも今年の頭くらいにクラファンで出資を募っていました。私は独身の日セールでネタを物色していたところTaoBaoで安く売っていたので今回仕入れてみました。PC業界では大躍進をした台湾生まれのメーカーのイヤホンをいざ拝聴です。余談ですけど下図にもあるXROUNDのロゴって日本のスポーツ施設のアレに似ている気が、、、うろ覚えの世界ですが。。。
う、動くぞ、コイツ。
この製品の大きな特長の一つが左右に上下にヒンジが動いて最適フィットを促進する機構かと思います。このぱっと見の写真だけだと非常にわかりずらく、丸い軸に沿って開いたり閉じたりするくらいに見えちゃいがちなのですが、コイツさらにこの丸い軸に垂直方向にも動くんです。しかもその動きが機械的なギアを使っているがごとく「カチカチカチカチ」と音を奏でて動くんです。これがね、気持ちいいんですよ。何に例えたらよいのだろう?金属製フィギュアの膝関節みたいな(知らんけど)適度に負荷のかかるそれでいて適度な角度に調節できるあれ。この動きと音だけでアガるというもの。 戯言はさておいてこの左右上下に柔軟に動くことでその人その人ごとに違うスイートスポットに少しでも合わせようとする気概も素晴らしいと思う。音のコアの部分やバッテリー部分、見てくれのケースなどにお金をかけるのはよくあるけど、こういった見えにくいけどユーザビリティを高めるところに気を配るところは凄く良いと思う。Cleer Arc3の動いて伸びるヒンジにプラスアルファ下感じです。
さらに続く良い音を聞かせようとする姿勢
このヒンジ調整以外にもいくつか「どうにかして」良い音を聞かせようとする機能がアプリ経由で見つかります。
- オープンタイプではあまりお目にかからない聴覚テスト+オートEQカスタマイズ
- ノイキャンに近い周りの音を少し打ち消す「聴覚フィルター」
- 「エージング機能」 有効か否かは別議論だがホワイトノイズでエージング促進サポート
- 周りの音の大小に合わせて音量上げ下げを自動で調整(音楽・通話)
- ハイレゾコーデックLDAC対応
などなど、それぞれの効果の程は「気持ち」的なところもあるが、それでも少なくとも「工夫」は随所にみられる。進化は工夫から、なのかも。
オープン・ザ・ボックス
トレックという名前をイメージしてか少し汚し加工のあるようなパッケージです。ケースは他社製品と比して一回りくらい小さく、オープンタイプにしては少し小ぶりなケースです。ただ素材や触感はチープなプラスチッキーなタイプでここに関しては持つ喜びは感じられません、、、
ヒンジが自由に動く代償として、イヤホン本体をケースにしまう時に少し難儀します。枠に合わせるために複数の位置調整が必要だからです。スポンと投げ入れるようにしまえる機種の気持ちよさと比べるとこの部分は少しどんくささを感じてしまいます。イヤーフック部分は細めのタイプなのでメガネへの干渉は最低限に収まっていて、この部分はいい感じです。
試聴レビュー&雑感
アプリは前述の通り音のパーソナリゼーションをいくつもトライしているためできることは多めです。ヒアリングテストはkHz毎に聞こえるか聞こえないかを確認するシンプルなものです。このテストを経ることでその人に沿ったカスタマイズEQの提案がでてきます。ただ自分の場合は(年齢もあるかと思いますが)高音を上げるセッティングとしてEQが提示されてきたものの結構それが高音刺さりになっちゃって結局高音下げて低音上げて、、、とマニュアルセッティングになってしまいました。プリフィックスEQは他社にはない「ハイキング・クライミング・サイクリング」などがあるのが「TREK」的で独自な感じがします。
LDACをオンにしているとマルチポイント接続とサラウンド機能がオンになりません。LDACとマルチポイントの取捨選択は難しいところですが、独自規格であるというサラウンド機能は正直効果をあまり感じることはできずに、これだったらLDAC選択かと思いました。
試聴雑感としては前述のEQパーソナライゼーションの良し悪しはありましたが、初見でのイメージは悪くありませんでした。適度な広がりと適度な低音。他社コピーかもしれませんが「耳スピ」耳にかけたちっちゃなスピーカー(良い意味で)というイメージが浮かびました。分離感も悪くないのがそのイメージを補足しているのかもしれません。前述の通りオリジナルの疑似サラウンドはさほど意味を成しませんでしたが、元音自体でそれなりに広がり感があるのでカナル型の耳入れイヤホンとは違う楽しみ方ができる良い例かと思いました。 他のライバル機種との試聴比較は本企画での横ぐし比較での提示とさせてください。
まとめ
オープンタイプワイヤレスイヤホン比較企画の一環としてのショートレビューでした。クラファン育ちという素性からかいろいろとトライしているところに非常に好感が持てました。現状でもそしてこれからもこの耳掛けオープンイヤホンは雨後の筍のように世に出てくるはずです。そんな中で独自的な機能は多いものの24000円という単価の価値を認めてもらえるかが問題でしょう。Amazon等で販売されている格安イヤホンだと数千円でオープンイヤホンが購入できてしまいます。この中でまだブランドの浸透度が低いメーカの製品に対して消費者が2万円台半ばの代価を認められることができるのか、、、今後のアップデートや更なる機能追加で独自性の歩みが期待されるところです。
ということ今回はこの辺で。その他のショートレビューもよろしければ。 それでは!
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