順当進化を遂げた大人気シリーズの最新ナンバリングバージョンを速攻レビュー!
変えるもの、変えぬもの。
パッと見の変化はない。初代NeoBuds Proから見た目や大きさの変化は「ほとんど」ない。変える必要に迫られていないのであろう。たしかにカナル型とうどん型の良いとこどりのイイバランスの形状をしている。フィット感も悪くない。だが「ほとんど」と記載したことでお気づきのように多少の変化がある。
見た目以外での機能面や音質面では確実に、着実に進化を遂げている。現状のTWSのテクノロジーでできることをとことん追求してきている。逆を言えばとことん追求してきているが故に、ある程度成熟期に入りつつあるカナル型のノイズキャンセリング完全ワイヤレスイヤホンの世界においては前世代バージョンとの差別化が難しくなってきているのも事実。「付加価値をつける」のか「機能の向上=”より”」を目指すのか。他社製品との差別化も大事だが、成熟期にある製品は自身の過去の製品も「ライバル」となり、買い替えを訴求する「理由」を提示しなければならない。
Edifier NeoBuds Pro 3: 大人気シリーズのナンバリングアップデート。何を変えずに、何を変えてきたのかを見ていこう。
「見た目」の踏襲と変化
ケース外観
色味を除けば前世代との外見の見た目の変化はほとんどわからない。個人差もあろうが丁度手のひらになじむ大きさと厚さのケース。耳に収めた時の顔の輪郭にキレイに沿うフィット感。いずれもシリーズを受け継ぐ素晴らしいポイントだと思う。
全く変わっていないのか? いや、そうではない。並べてみるとわかる変化があることに気づく。
左(色の薄い方)がNeoBuds Pro 3 (以下NBP3)、右(色の濃い方)がNeoBuds Pro 2 (以下NBP2)である。ケースの大きさが一回り小さくなっているのがわかる。厚みは若干NBP3の方が誤差レベルで厚くなっているが、上蓋が前代NBP2よりもラウンド感が増したので持った感じはむしろNBP3の方がしっくりくる感じがする。角が取れて手に馴染みやすくなったのだと思う。
ちなみにNBP3の色だが、購入したのは「星光白」だが、ホワイトではない。シルバーとホワイトゴールドの中間位の色と思ってもらってよい。淡く薄い色味だが非常に澄んだ良い色だと思う。
イヤホン本体
イヤホン本体も同様に全バージョンのものと「ほとんど」見分けがつかない。パッと見は同じである。しかしこちらもやはり変化と進化がある。
目を凝らさないと違いが分からないレベルではあるものの、AirPodsにおける「うどん」ステムの部分でNBP3の方が幅が広がり、そのステムの厚さも若干NBP3の方が厚くなっているのがわかる。以前ご紹介した同メーカーの高級ラインの”STAX SPIRIT S10“でも感じたずんぐり感まではいかないものの。とはいえ装着した際に違いや違和感を感じるほどのものでもない変化ではあるもののそこに意味はあるのであろう。
というのも今回の「変わるもの」の一つとしてタッチオペレーションを変えてきたのだ。今まではこのステム部分の平たいところをタップするごく普通のオペレーション方式だったが、今回からはこのステムの部分の側面を「つまむ」ピンチする方式に変更してきた。ステムの側面に感圧式のタッチコントローラーを搭載。これがいい。個人的にはイヤホンの表面タップが「加減がわからないで迷うわ」「強くすると耳が痛いわ」で大の苦手なため、この変更だけで購入意欲が爆上がりというものだ。
このステム部分の厚みの増加はこのコントローラーの設置のためだけでなく、バッテリー容量の向上にもつながっているようだ。NBP2とNBP3の公称バッテリー容量を比較すると違いは歴然だ。
- NBP2: ANC ON:4h (イヤホン)+12h (ケース) ANC OFF: 5.5h (イヤホン)+ 16.5h (ケース)
- NBP3: ANC ON:6h (イヤホン)+18h (ケース) ANC OFF: 9h (イヤホン)+ 27h (ケース)
ノイキャンオンの時でイヤホン本体およびケースとも約1.5倍のバッテリー改善になっているのでもちろんSoCの省電力化なども寄与しているはずだがこのバッテリー強化も見えないところの「大きな変化」の一つであろう。
スペックの踏襲と変化
NBP3の詳細スペックはまだ発売されたばかりということで公式サイトをなめるだけの情報となっているが、見た目の変化の少なさと裏腹に中身は順当に「進化」をしている。
進化
- BluetoothのバージョンはNBP2のv5.3から、NBP3のv5.4に順当進化
- DD+BAのハイブリッドドライバー構成はそのままに、特許取得済みの独立駆動型デジタル周波数分割技術を採用して3つの周波数を滑らかに統合して歪みのない豊かなディテールと広がりを作り出しているとのこと。BAは著名なKnowles製
- 前代から定評のあるノイズキャンセリングもさらに進化。特許取得済みのワイドバンドマルチチャンネルANC技術をさらに磨きこんで、-50dbの深さと4kHzの広帯域の除去を実現
- 前代と数は同じ片側4基のマイクがAIインテリジェント・サウンド・ピックアップをサポートしてノイズを正確にフィルタリング。人間の声の明瞭さを高めているとのこと。これにより風速25km/hまでマイク利用時の騒音防止を実現している
- 前代は公称を提示していないがNBP3では低遅延時のゲームモードで遅延を0.08秒まで低く抑えているとのこと
踏襲
もちろん前代からのハイスペック要素がそのまま踏襲されているものも
- LDACおよびLHDCv5の2つのハイレゾコーデックに対応
- LHDCv5では192kHzの高サンプリングレートに対応
- 空間オーディオ+ヘッドトラッキング対応
- 2台同時のマルチポイント接続に対応
- IP54 防塵防水
- などなど
aptX系は対応していないものの、LDAC、LHDCのハイレゾコーデックなおかつ、端末が対応していれば、LHDCで192kHzの最高レベルのサンプリングレートが体験できるのも大きな特徴の一つ。Aliexpressなどでは以前当ブログでも紹介した LHDC192対応のUSBドングルトランスミッターも発売されているので、スマホがLHDC対応機種でなくともLHDC192が体験できるようになったので、これを機会にLHDCにチャレンジするのも一考かと。
試聴雑感
音質
もともと音質とノイズキャンセリングに全振りともいわれた高音質高ノイキャンイヤホンであったNeoBads Proシリーズ。 今回さらに磨きをかけてきたようで、一回目の試聴で「音の広がりと」「音の分離感」「奥行きの深さ」という言葉が頭を一瞬でよぎり、その瞬間にこのイヤホンのレギュラー入り、ローテーション入りが確定。ノイズキャンセリングについてはどんな音を消したいかという個人のライフスタイルに沿った要求次第ではあるが、個人的にはBose、SONY系に限りなく近い第一群の強ノイズキャンセリングイヤホンの一角に入る機種であると感じた。強ノイズキャンセリングといっても、空間に吸い込まれるようなイヤな効き方ではなく、静かに静寂に引き込む感じのノイズキャンセリングで、この効き方も非常に好印象を覚えた。
昨今、5万円‐8万円の「高級」ワイヤレスイヤホンが発売され始めているが、このNBP3は中国で979元で発売。円安の影響で21000円程の円換算になってしまうが、ドル換算だと$134とミドルレンジクラスの値段で現在の最高レベルのテクノロジーが満載されたイヤホンが手に入るというのが、Edifierハイクラスのすごいところだ。
見た目やスペック表だけでは変化に乏しい“EDIFIER NeoBuds Pro 3”だが、世代を重ねて確実に最高レベルのイヤホンと肩を並べる存在になってきていると強く感じたのであった。
接続性等
気になるのは音質だけではなく、接続性も重要。いい音でもブツ切れだと意味がない。安定した屋内および一般の街歩きではLDAC96/24 990k、LHDC192ともたまにブツっということはあれ、試聴を邪魔するほどではなかった。電波が飛び交うPC前や強い電波が走る交差点等ではLDAC990kおよびLHDC192とも途切れることはあったが、これも及第点レベル。平均点の上って感じ。双方とも高ビットレートの割には頑張っているな、というのが第一印象。通勤地下鉄内での確認等は後日。
気になったこと
一点気になったことが。それがこちらの認証ロゴマーク。
商品パッケージにも、Webサイトトップページにも燦然と輝いているこの認証ロゴ。もちろん左のハイレゾワイヤレスロゴはおなじみの日本オーディオ協会主催の認定ロゴ。一方右の「Ultra Res」ロゴは初めて見た。気になってググってみたものの同様のロゴはどこにも見当たらない。LHDC192を指した「ハイレゾの上をいく」という意味は分からんでもないが、広く認定された第三者認証でないものを「それらしく」公式認証ロゴと並べて「置いちゃった」のだとしたら、責任ある企業の姿勢としていかがなものか、、、と思う。仔細はいまだ不明。
つづく
今回は速報レビューということでここまでまずはここまで。それでは!
技適マークがない無線通信機器を日本国内で使うと電波法違反になる恐れがあります。特例制度(技適未取得機器を用いた実験等の特例制度)を利用し、ウェブサイトでのレビューや実験・試験・調査によるものが対象であることを明示した上で総務省に届出をすることによって合法的に技適マークがない無線通信機器を使うことができます。ご注意ください。
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