Xiaomiが満を持して投入したイヤーカフタイプのオープンバックイヤホン。小さな筐体での開放型という低音再生には過酷な状況に真正面からぶつかっていった。。。んだと思います。
イヤーカフタイプのオープンバック
そもそもTWS/OWSはスペースが限られている。同じカナルタイプでもTWSはそこにバッテリーやらSoCやら何から何まで詰め込まなければならないけれど、今までの有線タイプのイヤホンならその筐体により多くのドライバーなどを詰め込める。片側20BAとか。低音をDD中域をBA高域をESTとか役割分担でいろいろ賄える。イヤーカフタイプには形の制約はないもののスピーカー側は耳穴にそっと置くタイプが多いので大きな筐体は使えない。その代わり耳の裏側に回しこむ支えるところにバッテリー系を逃がせるという利点はある。ただいずれにしもドライバーサイドには“スペース的な”余裕がない。そこが各社の腕の見せ所と差別化要因を生み出せるところとなる。
オープンバックの弱点、低音域に挑む
世には低価格帯でも「ハイレゾワイヤレス」ロゴを取得した商品にあふれている。いかにも高音質を奏でそうだ。 しかし、そもそも「ハイレゾワイヤレス」認証を取得するために、可聴帯域外である超低域への対応は求められていない。実際、多くのワイヤレスイヤホン、特にオープンタイプのイヤホンは高域側の再生周波数特性こそアピールするものの、低域側の対応範囲については明示していないケースが少なくない。
そんな中、以下の3社はあえて異なるアプローチを選んだ。
「ワイヤレスオープンで弱点といわれる低音、さらには如何に超低音域(サブベース)までをも再現するか」
彼らはその難題に真正面から挑んでいる。

Huawei、Cleer、そしてXiaomi
Huawei FreeClip 2: いわずと知れた大ヒット商品だが、これが「超低音対応」というイメージはあまりない。しかしスペックシート上だと「周波数応答範囲:20Hz~20kHz」と対応を明示している。これを実現したのが 同じく限られたスペースの有効活用として1つのユニット内に「2つの振動板(デュアル・ダイアフラム)」と「デュアル磁気回路」を搭載して物理的に2倍の低音域を出してきた故だ。さらにワイヤレスイヤホン初となるNPUを積んできた。これによりAIでサポートした低域の補強などができるようになったのだ。 ただ前作より低域が強いのは完全に認めるところだがそれでも限界があるようでEQで低音ブーストを選ぶというのが中国コミュニティに多く聞こえる声だ。
Cleer ARC 6: 高音質オープンバックイヤホンとして名高いARCシリーズの最新作。こちらについては前回レポートを掲載したので確認してほしい。このレポートでも掲載したがARC6ではダイヤフラム(振動板)の表面コーティングにDLC(ダイアモンドライクカーボンを使用し、さらに音響チャンバーをマグネシウム・リチウムイオン合金に代えて、再生周波数帯域も20Hz-40kHz (低域の沈み込みがフルレンジ化)まで拡充してきた。独自のDBE(ダイナミック・ベース・エンハンスメント)テクノロジーをアップグレードし、これら合わせ技で歪みの少ない強烈な低音を実現できるようになった。実際中国コミュニティでも超低音を鳴らし切ることへの称賛が高い。
Xiaomi Clip: そしてXiaomi。Xiaomiも同様に振動版に改良を加えてきた。Xiaomiは「11mm口径+0.6mm超大振幅+微晶金属コーティング」を採用。耳の入り口の「ほぼゼロ距離」で11mmの巨大な膜が0.6mmというインナーイヤー型ではあり得ないストロークを実現。これは金属の持つ「高い剛性」で高域の歪みを抑えつつも、微結晶構造による「適度な粘り(内部損失)」を持って激しいピストン運動をさせても膜がしなやかに追従し、「破綻しない、厚みと弾力のある低音」を鳴らすという仕様を選択してきた。高音(高周波)の追従性を極限まで高めつつ、低音の激しいピストン運動に耐える「筋肉質な振動板」で小さな筐体で超低音からハイレゾクラスの高音を実現したというわけだ。数々のライバル機種から一歩抜き出た低音をたたき出してくるというのが中国国内のコミュニティの大枠の反応。しかも格安で。

スペック
Xiaomi Clip(Xiaomi 耳夹式耳机)
| カテゴリー | 項目 | 仕様詳細 |
|---|---|---|
| 基本情報 | 製品名 | Xiaomi 耳夹式耳机 (Xiaomi Clip) |
| タイプ | イヤーカフ型(耳挟み式)オープンイヤー完全ワイヤレスイヤホン | |
| カラー | バサルトブラック(玄武岩黒) / アイリスパープル(鳶尾紫) / パールホワイト(珍珠白) / サテンゴールド(緞光金) | |
| オーディオ特性 | 周波数応答範囲 | 20Hz – 48kHz (ハイレゾ超ワイドレンジ対応) |
| Bluetoothバージョン | Bluetooth 5.4 | |
| 対応コーデック | AAC / SBC / LHDC 5.0 (ハイレゾ対応) | |
| バッテリー・駆動 | 連続音楽再生 (AAC) | 本体単体:最大 9時間 / ケース込み:最大 38時間 |
| 連続音楽再生 (LHDC) | 本体単体:最大 6時間 / ケース込み:最大 25小时 | |
| 急速充電性能 | 10分間の充電で最大 4時間の音楽再生が可能 (※AAC/50%音量時) | |
| デザイン・サイズ | 重量 | イヤホン片耳:約 5.5g / 充電ケース:約 41.4g |
| イヤホン寸法 | 28.15mm × 18.98mm × 24.98mm | |
| 充電ケース寸法 | 51.13mm × 51.13mm × 30.07mm | |
| タフネス | 防水防塵規格 | IP57 (イヤホン本体のみ。水没&防塵対応) |
※バッテリー駆動時間は音量50%、AIアシスタント等の機能をオフにしたメーカー公表の理論値です。
- Bluetooth 5.4 & LHDC 5.0対応: クリップ型でありながら抜かりなく最新規格とハイレゾ環境を網羅。
- 驚異の「IP57」防塵防水: オープンイヤー型では極めて珍しい、一時的な水没にも耐えるタフネス仕様でスポーツ用途にも最適。
- 10分充電で4時間再生: バッテリー周りの急速充電効率は、ライバル(Huawei FreeClip 2等)を完全に凌駕するバケモノスペック。
- 20Hz-48kHzの超広帯域: 11mmの超大振幅(0.6mm)ドライバーが、オープン型の弱点である重低音を物理的に鳴らし切る仕掛け。
SpecをGeminiさんにまとめてもらいました。やはり目を引くのが、“周波数応答範囲 20Hz – 48kHz”超低音部分~高音までの広帯域再生を可能にしているところです。再生時間数はこんなもんですかね? グローバル使用になった時のLDAC再生時間数が気になります。それ以外もおそらくライバル機種を研究して引けを取らないものとして出してきているはずです。

オープン・ザ・ボックス
外観等チェック
ここからは口調も変えて開封の儀といきましょう。今回も京東で購入し元決済・キャンペーンで輸送費タダで+外貨手数料+輸入消費税1000円=799元→2万円強という感じでした。円安元高で4千円位高くなっちゃっていますねぇ。購入から一週間くらいで届きました。予約もしていたのですが、販売開始から数時間遅れて購入手続きをしたため人気の金色は既に完売、ほかの色も少し発送が遅くなる云々があったので選択肢なく白を購入。ま、いっかということで。
外箱はXiaomiの商品らしいシンプルで硬い紙の箱。日本の技適らしきものは見当たりません。後述しますが中国版はハイレゾコーデックに中国で比較的浸透しているLHDCを採用。費用を抑えるため? 日本にローカライズする際はおそらくLDACに変えてくるでしょうから、日本版はモデル違いなんでしょうね。最近XiaomiはApple製品との親和性を模索してきているようでこの商品にも”Apple Find My”というロゴが大きめに掲載されています。

そしてケースがこちら。「ちっさ!」初見の感想がこれです。実際ケースとしてはかなり小さい部類に入るであろうHuawei FreeClip 2と比べても平面表面積はほぼ同じ、高さが1.5倍くらいの感覚値です。触り心地もシボ加工があって高級感があり非常に好感が持てます。 右の写真がケースを開けたところ。このようにそこに本体を垂直にかぶせるようにセットするタイプはあまり見てこなかったため新鮮です。
ただこのセットで残念なところが。この製品はFreeClip等と違って左右が明確になっています。本体球体部分に左右が明示されています。ただケースへのセットが左右どちらでも区別なくできてしまうため、ややもすると左右間違えてセットしてしまってそのまま考えずに左右間違って装着してしまう、、、そんなことがありそうで装着時に左右の正誤を確認する手間が無駄かな、、、と。

そして今回のこのイヤホンで一番目のいくところはドーム状のイヤホン球体先端部分。どうなっとんじゃい、と。写真左のように先端中央がメッシュ状になっています。この部分オフィシャルサイトでは以下のように説明がされています、「透明な音源球体は、半透明のデザインを採用することで内部構造をはっきりと見せ、優れた音質をすぐに実感できます。音の出口にはレコード盤のようなメタリックな質感が施され、繊細かつ洗練された印象を与え、荘厳な雰囲気を醸し出します。」・・・見た目のことしか書いてないしw ただ先端がこのようにはっきりとスピーカー的な開口をしているイヤホンをあまり見たことがないのでとても新鮮です。この部分に秘密が隠されていると思っていたのですが、記載説明はありません。(隠しているのかもw)
右の写真はHuawei FreeClip 2との比較です。かなり研究したのでは?とも思いたくなるほどほとんど同じくらいの大きさと質感です。ただし弦の部分がHuaweiがリキッドシリコーンを使った細いものに対し、Xiaomiは筐体一体型で高性能形状記憶チタンワイヤーを内蔵したものとなっています。どちらかというとHuaweiの方が自由度が高いのに対し、Xiaomiの方がしっかりと挟む感じです。かといって痛いといったことは感じない絶妙な力加減です。

アプリケーション確認
Xiaomi Clip用の専用アプリというものはなく、Xiaomi汎用のXiaomi EarBudsというアプリを使用します。ハイレゾコーデックLHDCへの切り替えはBluetooth設定画面から変更します。最初に接続後、FWのアップデートが始まりましたAI系の使い勝手向上など。

日本のGoogle PlayからDLできるアプリのバージョンは1.33.0iでした。そうするとAI系のファンクションが揃ってないように見受けられます。中国公式サイトなどにはバージョンアップした1.35.1というものがあったのでそれをDLしました。そうするとまだローカライズが済んでいないのか英語記載になってしまいましたがその代わりAI系ファンクションがでてきました。
一点注意が、こちらまだGlobal未発売のためアプリ上のRegion設定をChinese Mainlandにしないとこの商品が製品セレクションとして出てこないかもしれません。現時点での注意事項です。

以下左画面がメインファンクション画面です。上部の2つがAI関連、あとは一般的な設定ですね。ただAudio effects ≒ EQ設定ですが右画面のように非常にシンプルな調整しかできません。バランスと高音増加、中域(ボーカル)増加、、、 あれよくある「低音増加」がない。それだけ低音には自信があるということかw いずれにしてもAppの最適化に伴ってこのEQ関連は充実していくのでしょうか?

AIファンクションをちょっとだけ
AI機能についてざっと触った範囲内でレポートします。まず何がよいかってCleerと違って日本でも制限付きですが使えます。Cleerは全てに中国国内の電話番号認証が必要となってAI機能が一つも使えなかったのですがXiaomiさんさすがですw 使える機能は大きく分けて以下の通り
- Audio transcliption (音声文字起こし)
- Traslate conversation (会話翻訳)
- AI Interpreter
- Translate calls
- Simultaneus interpretation
文字起こしの目玉は、イヤホン経由でのライブ録音→文字起こしはもちろんのこと、イヤホンケースもマイクとして活用できることです。話者が遠い会議などで活用できるはずです。文字起こし自体はリアルタイムでしてくれます。 終了後にはボタン一発で多言語に翻訳してくれます。 ただしここで前述の「制約」が立ちふさがり、元の言語 or 翻訳言語 どちらかが現時点では中国語に限られてしまうということです。アプリのバージョンでの制約なのか、グローバル版が出るまでこの仕様なのかは定かではありませんが、現時点では「英語⇔日本語」の翻訳は次項の会話翻訳でもできません。 文字聞き取りの制度についてはこれは個人個人で確かめるほかはないかと思います。現時点では当方でも比較対象をあまり持ち合わせていないこともあります。なのでこの評価はパスで。
会話翻訳は前述のとおり中国語が絡む翻訳しか現時点ではできないものの、例えばYouTubeなどの音声の翻訳や、電話での会話の翻訳もしてくれます。イヤホンサイドとスマホサイドに分かれて同時通訳してくれる機能もあります。添付例は中国語を知らない当方の恥ずかしい限りの最低限の中国語を認識して日本語化もしてくれました。


ところでこの「AI機能」ですが、他社が宣伝している所謂「AI機能」と比して文字起こしと通訳系だけという少し寂しい状況に見えます。ただし現在当方が使用しているスマホ本体にXiaomiのAIである小愛というアプリもインストールされていませんので、何らかの地理的制約に引っかかっちゃっている可能性もあることにご注意ください。
試聴雑感
まず最初にお伝えすべきことが。このXiaomi Clipですが当方のイヤーカフタイプイヤホンの”エース”にいきなり昇格しましたw 当方のスマホがLHDC v5をコーデックとしてつかえるものであるという背景、そしてやはりオープンイヤホンの低音の足りなさをやはりどこか物足りなく感じていたということもあるでしょう。まだ数日しか使っていない中での限られた状況ではあるものの、自分の中でかなりの高評価フラグが立ちました。 低音の部分でかなり健闘しているなというのが個人的感想があるがゆえのエース抜擢 最大の理由です(単純)

前述のとおりXiaomi Clipでは限られたスペースにおいて強くしなやかな振動版を採用し、振れ幅が大きくしっかり制御できるという強靭性と柔軟性を獲得しました。たまたま前回の製品のレビューがCleer ARC 6だったこともあり、こちらも超低音性能がウリだったので同じ低音に定評がある”James Blake — Limit to Your Love”や”Billie Eilish – Happier Than Ever”等を聴きこんでみました。さすがDLCベースの振動版+16mmのドライバーと筐体の大きさと強度に余裕のあるCleer ARC 6が奏でる低音の響きは強大でしたが、なんのなんのXiaomi Clipも負けてないんじゃない? というのが当方の感想です。イヤーカフという気軽さがウリのイヤホンでここまで低音を響かせれれば十分じゃない?と。もちろんオープンイヤホンならではの高音の広がりもあり、特に立体音響の機能はついていませんが、スピーカーの前で聞く音楽の心地よさのようなものを感じました。
但しCleerの感想でも記載しましたが、オープンイヤホンにも低音(迫力)を求めると必然的に音圧・音量を高めてしまう傾向にあり、そうなることでオープンイヤホンの一番の利点の一つでもある「外音が聞こえやすい」が「外の音がほとんど聞こえない・・・カナルタイプと同じじゃん」という矛盾が発生してしまったのです。求める低音にも線引きが必要だな、と。

まとめ
とここまで、オープンイヤホン、とりわけイヤーカフタイプのイヤホンでは完全に後発に回ってしまったXiaomiが満を持して世に問うてきたイヤホンを試してまいりました。現時点の試用環境ではかもしれませんが機能的にもかなり絞って音質にかけてきたなという印象です。もちろんAI機能も大きな目玉なのでしょうが現時点のテスト環境では、、、ということもあり。ただそれよりも何よりもオープンらしい抜けの良い高音に加えて広帯域、超低音までキチンと鳴らすことを目指してきたんだという意気込みが感じられたことが今回この製品を気に入った理由でもあります。世に雨後の筍のように低価格なオープンイヤホンがあふれ出して何が何だか整理がつかなくなりつつある今、このように筋の通った芯のある製品に会えたことがかなりうれしかったです。
現状の「Bluetooth イヤホン」という枠の中ではだんだんワイヤレスイヤホンの完成形というものが垣間見えてきたような気もします。それでも良い意味で期待を裏切って新しいパフォーマンスを見せてくれる。。。だからイヤホン選びはやめられないのかもしれません。
それでは今回はこの辺で。
日本国内で無線機能(Bluetooth 等)を使用(試用)する場合、つまり実験目的で使用する場合は、総務省「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」への届出が必要です。ご注意ください。


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