ゲーミングスマートフォンで独自の地位を築いているNubia – REDMAGICから、ユニークなポジションのゲーミングイヤホンが登場
ゲーミングスマートフォンの中でも「ガチ勢向け」と称される独特な位置づけのスマートホンメーカー “REDMAGIC”から 非常に面白いポジションのTWS – ワイヤレスイヤホンが登場しました。その名も“DAO TWS”
この名称の「DAO 氘」は「気」の中国語表記ではなくて「氘(だう)」。これは水素の安定同位素のことで、重水素や水素-2とも呼ばれるそうです。なので英語でも重水素を現す「Deuterium」という表記が付記されています。ケースの横にも水素を現す「H」とともに化学式のようなデザインが施されていますね。なぜこの言葉を使ったのはよくわからずじまいだったのですが、、、 いずれにしてもこの「DAO 氘」シリーズで充電器なども出しており、REDMAGICのサブブランドとして位置づけられています。
で、このDAO TWSですが、ゲーミングイヤホンとしてユニークな位置を狙っての登場というか、「PCへの接続」を前面に押し出しているのです。世のTWS-ワイヤレスイヤホンのほとんどがスマホへの接続が大前提というか、PCにも接続できるけどあくまでオプションというか「接続できますよ」というだけで終わっているのが殆どだと思うのですが、このDAO TWSはもちろんスマホへの接続も主としてなりたっているのですが、PCへ接続する「母艦」を標準で備え、その「母艦」がちゃんと機能を備えており、PCへの接続が大主流となっているTWSなのです。順を追ってみていきましょう。
オープン・ザ・ボックス
パッケージ開梱と行きましょう。手のひらサイズのパッケージが殆どのTWSですが、こいつは w13cm x d13cm x h11.5cmというなかなか大柄なパッケージです。アリエクスプレスのセールで購入、$155程でした。購入後一週間強で到着です。アリで$150のイヤホンというと高額の部類ですがw、それだけに信用が置けるとも言えます。
箱の底にはSnapdragon Sound対応や、あまりお目にかからないdtsX対応の表記が見られます。
箱の中にはケーブル類や持ち運び用の柔らかい小袋などが入っていますが、イヤホンとケースがこちら。珍しいスライド式の蓋構造を採用しています。
さらにユニークなのが冒頭でもお伝えした「PCへの母艦」が標準で封入されていること。母艦にケースをセットすると母艦のノブがイヤホンケースから飛び出てくるのも非常にユニークです。
PCへの接続はこの母艦の裏側にある専用ポートにドングルを接続して、USB経由でPCに接続する方式をとっており、そのドングルは「Qualcomm S3」ドングルと記載されているので、おそらく以前Qualcommからアナウンスのあった「Qualcomm S3 Gen 2 Dongle」と同等のものであり、LE audioのコーデックでPCに接続し、28msという低遅延を実現させているのだと思われます。
スペック等
チップ的にも性能的にも割と最先端系をいっています。 SoCとしてQualcomm S5 Gen 2を採用、11mmのリニアグラフェンドライバー搭載、CODECは下記パラメータ表ではaptXのみの表記だがaptX Lossless接続を確認、その他LHDCやAAC、上記の通りLE audio接続対応。ノイズキャンセリング、外音透過、ワイヤレス充電対応 等々
いざ試聴。。。その前に
母艦、光ります。 ゲーミングうたうだけにw
試聴してみた(スマホ接続篇)
まずは一般的なスマホ接続。接続先はSnapdragon Sound対応のXiaomi 14 Ultra。双方ともSS対応ということで問題なく接続しました。デフォルト状態でaptX Lossless接続に。接続詳細にある「LHDC」のトグルをオンにするとLHDCでの接続になるものの、どうも48kHzまでの対応のようで開発者向けオプションで96kHzに変更すると音が切れるというか流れてこなくなりました。一方のaptX Lossless接続は全く問題なし。他のBluetooth電波などが流れまくるPC前でも、電波の強い交差点でも電波が目立って途切れることはありませんでした。
アプリはREDMAGICのデバイス向けアプリ「Goper」で対応します。ユニークな佇まいのイヤホン本体に比べてアプリの中身は割とシンプルな方だと思います。日本語対応です。
ノイズキャンセリングはSnapdragon Sound対応の最近のTWS同等の効き方かと思います。AIアクティブノイズリダクションとうたい、環境に合わせてノイズキャンセリングの深度を調整し、最大48dBに達するとのこと。
EQは基本プリセットモードで対応。独特なのはやはりゲームに特化したプリセットがあることです。「User」というモードでカスタマイズができます。正直デフォルトの音だと高音がキツクてかさつきが気になっていたのですが、EQで調整するとワームよりの音にまで落とすことができて好みの音質にすることができました。ゲーミングイヤホンという割には音質の調整までこと細やかにできるのは好感です。
独特なのはゲーミングデバイスといえばこれ、ライティングw アプリの設定でイヤホンのノズル部分の「氘」が光ります。。。 いらんかな、これw
ということで試聴ですが、上記EQのパートで少し記載したように、デフォルトでは正直少しかさついた音で「ゲーミングイヤホンってこんなもんなのか?」と思っていたところEQを調整することにより長時間の音楽鑑賞にも合うワームよりの優しい音にまで変更することができて、好みの音になったことでローテーションの一角に入るのでは?と思い始めています。
試聴してみた(PC/ドッキングベース接続篇)
本製品の目玉の一つである付属のドッキングベース(withドングル)経由での接続も試してみました。前述の通りQualcomm S3 Gen 2ドングルと思われるものが標準でついており、これを経由してLE audioでの接続になると思われます。思われますという微妙な表現なのは「今、LE audioで接続してますよ!」的な表示はどこにもないため、こういった表現とさせていただいております、、、そう残念ながらPC上の専用アプリはない(PC用のGoperアプリはあるもののまだ対応していない?)ため、接続状況の判別が明示的ではないのです。
さて、このドッキングベースで象徴的な銀色のノブはまわすと音量調整になり、長押しでライティングの選択、クリックすることでスマホ接続(Classic Bluetooth)とPC接続(LE audio)の切り替えができます。切り替えは瞬時で切り替えたことが耳からのアナウンスで伝えられます。そう、言い忘れていましたがこのイヤホンにはいわゆるビープ音はなく、少しアニメチックな音声で「Bluetoothコネクテッド!」などがアナウンスされます。水月雨のTWSで流れていた音声に似ている気がします。このノブを押すことでPC接続になり、これでいよいよ試聴です。
ドッキングベースに乗せたケースからイヤホンを取り出し、ノブを一回軽く押すとイヤホンから「ドングルモード」なるメッセージが聞こえ、ほぼ間髪なくPCに接続される。PCの入出力確認も迅速に呼応してサウンドアウトプットのセレクションが”DAO TWS”に変更される。
SteamのPCゲーム「ガンダムブレーカー4」とYouTubeで遅延確認をしてみた。まずゲームの方はタイムラグをほとんど感じない。厳密な音のズレを感知できるゲームではないので参考レベルだろうが、音の遅延が感じないどころかイヤホン自体が非常に軽いため耳へのストレスが小さく、かつ恐らく効いているであろう空間オーディオテクノロジーの「dtsX」が功を奏して非常に臨場感が高いサウンドがワイヤレスイヤホンを付けているということを忘れてしまいそうなほど没入感高く聞き入ってしまった。
YouTubeはVtuber語りのビデオと洋楽MVを確認してみた。YouTube自体の音声遅延抑制がかかっていることもあるだろうが、確固たる遅延は認められなかった。同じコンテンツをUSB DAC接続の有線スピーカー経由でも確認してみたが、「言われればワイヤレスの方が遅い気もするが、ようわからんわ」ってなくらいで実用的なパフォーマンスだったかと思う。
この臨場感があり没入感が高くのめりこんでしまうほどの音質と、明確な遅延を感じない低遅延の両立。正直LE audioを再評価してしまった。「やるじゃん、LE audio」。今までの先入観などもありLE audioは低遅延かもしれないが音が薄っぺらく、音を楽しむ用途よりも耳から情報をとるくらいの用途専用くらいに半ば思い込み始めていたが、軽いジャブを食らって再認識したというわけだ。これはDAO TWSのパフォーマンスなのか、LE audioの実力なのか、ドングル+イヤホンともにQualcommテクノロジーでそろえたことによる環境の成功例なのか。。。
しばらくPC接続のイヤホンはこれでいいや。
まとめ
最後にプロコンをまとめておこう。
良い点
- ドングル付属で安定感のあるLE audio接続
- 最新のaptX Lossless接続対応 + 柔軟なEQ操作で良い音をさらに自分好みに調整できる
- 軽いイヤホン本体でつけ心地が◎
- ハイレゾイヤホン + ワイヤレス充電対応ケース + LE audioドングル + ワイヤレス充電台兼PC接続母艦 = これで$150強は激安じゃない?
悪い点
- PC接続をメインにうたっておきながらPCアプリに対応していない(要調査)
- 電池の減りが比較的早い
- ノイズキャンセリングは最強レベルではないので、ノイキャン第一の層には合わない
- LDACに対応していない
こんな感じだろうか。個人的にはLE audioベースの接続の音質を再評価できたことと、付属品てんこ盛りで$150は超お買い得に感じられて満足感が高い。もちろんノイキャン含めパートパートでは最高のものではないので、総合点が高い器用な奴といった感じで、すべてに最強を求めない環境では結構高い選択肢のランキングに食い込んでくると思えた。
ほりだしもんを見つけられて、少しうれしかったあたらしもんでした。
本日はこれまで、それでは!
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