人はなぜ21世紀の今でも真空管という前世紀の産物に惹かれるのだろう。パーソナルオーディオファンなら一度は通るであろう真空管アンプとの出会い。21世紀が始まって四半世紀経った今、真空管は”ポータブルオーディオ”の世界で再び花開いた。
真空管オーディオ
と、言っても、当方全くこの手の情報に疎いです。。。 デスクトップオーディオの延長でアンプを新調しようとした際に、歴史の教科書で見るようなw 異形のオーディオを一目見て惹かれて一度購入したことがあります。 やれXXXX年産のものは音が良いから、やれロシア産のXXXは貴重だからなどの耳度島情報に踊らされて真空管を取り寄せたりしましたが、如何せん立ち上がりの遅さにしびれを切らしちゃって通常のパワーアンプに切り替えた、、、このくらいの想い出と知識量です、はい。
ただ、タイトルにも書いたように21世紀もある程度進んだ今でも「真空管オーディオ」へのまなざしは熱く、その他の前世紀の産物がことごとく消えていってしまう中、いまだに細々とでもやり取りがあり、それを搭載した新製品まで出てくるという真空管オーディオへの謎の熱量には興味が惹かれます。

Chat-GPTさんに聞いてみました。
『なぜ真空管がいまだに好まれるのでしょうか?』
真空管が今でも好まれる理由
心地よい“付け足し”がある
・真空管は、音に偶数次高調波という“優しい倍音”を自然に加えてくれます。
→ これはちょうど、料理に隠し味を少しだけ加えるようなもの。音の厚みや柔らかさを感じやすく、人間の耳には「音楽的で気持ちいい」と受け止められます。
・不完全さが魅力になる
真空管は熱や電圧のゆらぎ、個体差などによって微妙に音が揺れます。デジタルのように「毎回同じ完璧な音」ではなく、少しずつニュアンスが違う。
→ これが人間味を帯びた“生っぽさ”として心に響きます。
・所有欲と儀式性
球がほんのり光る姿や、じんわり音が立ち上がる“ウォームアップの時間”は、聴く前から気分を高めてくれる。音を聴く行為そのものが「特別な趣味」として楽しまれるのです。
デジタル時代のアナログ的なゆらぎへの欲求
“心地よい付け足しがある”
これは非常に力強いキーワードだと思いました。理屈じゃないんです、効率じゃないんです、無駄だからこそいいんです!。。。みたいな。
「ゆらぎ:時間的にゆっくり変動する“微小な不規則さ”」人はここに心地よさを見つけがちだそうです。すべて同じ音ではなく聴くたびに、聴き続ければ聞き続けるほど微小にブレがある音。睡眠時のノイズとか、ユーミンや美空ひばりの声とかが心地よく聞こえるのもそれだという話もあります。
このようにして「ゆらぎ」を求めてなのか、未だに真空管搭載アンプの新商品などを目にします。そして今回紹介するのは、その真空管の世界がポータブルオーディオ、手のひらの中に舞い降りてきた商品です。真空管の象徴でもある淡く懐かしい明りも鑑賞できます。

アナログとデジタルの二刀流: MUSEHIFI M5 Ultra
MUSEHIFIはポータブル志向のプロダクトに注力する新興オーディオブランドの一つ。IEMも発表されていますが、DACやポタアンで名が知られています。そのMUSEHIFIから今年発売されたのが、“MUSEHIFI M5 Ultra”。 真空管のみならずESSのDAC搭載かつBluetooth対応のポータブルアンプ。いわばアナログとデジタルの二刀流です。
スペック
- カテゴリー:ポータブルBluetooth/USB DAC & ヘッドホンアンプ(真空管/半導体 切替式)
- 真空管:Raytheon JAN6418 ×2(NOSサブミニチュア5極管)
- 真空管ショックアブソーバ機構を搭載(マイクロフォニクス対策)
- 3段階ゲイン、7種のデジタルフィルター
- 正面にステータス表示ディスプレイ(入力/ゲイン/フィルター/モード/ビットレート/電池残量)
- DAC:ES9038Q2M(“6418 Architecture”のカスタム)
- Accusilicon AS318B 45.1584/49.152MHzデュアル独立クロック(低ジッター構成)
- 対応フォーマット
- USB:PCM 最大32bit/768kHz、DSD対応
- Bluetooth:Qualcomm QCC5125 → 結構新しめのが載っているのに驚き
- コーデック:LDAC/aptX Adaptive(iOSはAAC)
- 入出力:
- ヘッドホン出力:3.5mm(SE)/4.4mm(表記上Balanced)
- USB-C×2:データ用と充電用を分離
- バッテリー:3000mAh(10時間超の実測報告/QC4.0+PD急速充電対応、満充電目安約2時間)
- サイズ・重量:62 × 100 × 18 mm/約160 g(国内量販・仕様欄)
- 付属品:レザーケース、USB-C↔C、C↔Lightning、USB-Aアダプタ等(同梱)
- 価格目安:海外$239–299(時期変動)/国内発表時49,900円(税込)
- 注意事項
- 出力(mW/Vrms)やS/N、THD+Nの公称値は未公開。
独自性
上記スペック表内でも記載した、
・「アナログとデジタルの二刀流」
・「バッテリー搭載」
・「USB DACとBTトランスミッター両対応」
というのがこの製品の大きな特徴でしょう。一番の目玉である「真空管搭載」のみならず、ジャンルなどに合わせてデジタルDACで聴くこともできるということ。 スマホの電源漏洩をふせぐバッテリー搭載に加えて、携帯性を損なわないBT対応というフレキシブルな使い方ができるのも魅力です。
さらにその実力をサポートする技術として、
・“6418アーキテクチャ”:JAN6418使用時のRFI/BT干渉を抑えるため、ESSと協調したカスタムES9038Q2Mと独立クロックを採用
・ショックアブソーバでマイクロフォニクス(音楽信号や振動が真空管内部に影響を及ぼし、その結果、ノイズや歪みが増幅されてしまう現象)を抑制、無音時の静粛性は良好とのレビューが複数
外部ノイズを拾いやすいアナログ部分を保護。衝撃などに弱い真空管を守るショックアブソーバーをこの小さな筐体の中に搭載しているのだからスゴイ。

内外のレビュー
この製品に対する内外の反応をChat-GPTに集めてもらいました。
海外メディアの評価(要点)
音質
Tube:中域の厚み・滑らかさが増し、より“有機的・リラックス”な方向。
Solid-state:透明度・S/N・分離に優れ、ニュートラル。両モードとも出来が良い。
ノイズ/マイクロフォニック
無音時の静けさ良好、マイクロフォニックを実用上抑制との記述が複数。
Headfonics
Prime Audio Reviews
無線/BT
BTは概ね安定。ただし到達距離がやや短いという指摘。
バッテリー/充電
3000mAh/10時間超・QC4.0/PD対応という運用面の強み。
海外コミュニティの声(傾向)
Tubeモードの“違いが分かる”/“暖かさ・厚みが増す”というポジティブな初見が多数。
一方で、出力スペック不明への不満や、個体によって高域ヒス/QC懸念の報告も散見。
国内ユーザー/レビュワーの所感
“真空管なのにノイズが非常に少ない”点を高評価。TubeとSSの差は中域の艶・響きの増加として言及。(ゆるふわオーディオ日記)
サイズ感は携帯として大柄だが、据え置き的な使い方で好印象。
アメーバブログ(アメブロ)
BTR系との比較動画・記事が増加(“定番の半導体 vs 実管搭載”という文脈で話題化)。
YouTube
このように内外の反応はおおむね良好。多機能・柔軟性を評価しています。一方でヘッドホンジャック(特に4.4mm)の作りへのネガティブな反応もあり「せっかくほかで高性能のものを積んでいるのにここだけ雑」といった意見もありました。確かに自分も4.4mmバランスケーブルを差した際に『乾いた変なひっかかり』があってサクッと差し込めなかった実感があります。こういうユーザーが日々実感するところにこそお金をかけてほしいと思うのは私だけでしょうか?
オープン・ザ・ボックス
さていよいよ開梱です。今回はAliexpress HifiGoより取り寄せました。約$180強。 注文から四日で到着というわけのわからない速さでした。
こちらが収納ケース。引き出し付きの豪華な外箱です。

天蓋を開けるとこんな感じ。「これを選んだ奴はみんなピュアミュージックラバーさ!」的なメッセージと共に本体が鎮座しています。
引き出しの中はこんな感じ。同梱物はソフトケースとType-C, Lightningの2本のケーブル。TypeAアダプターもついています。

ESSチップやQualcommのチップがのぞき見える表面と、MUSEHIFIのロゴと共に日本の技適マークが印字された裏面です。日本で心配なく使えそうです。


本体上部にはポート等は無く、全て底に集約されています。スマホなどへ繋ぐType-Cと共に、独立した電源ポートがあるのはありがたいですね。ただパススルー充電の記載はどこにもなかったので計画的な運用が良いかと思います。

側面は真空管口(のちほど)と、逆サイドに操作ボタン類があります。 電源と音量、メニュー操作、音楽のスタートストップ、先送り・巻き戻し(古)操作ができます。

ソフトケースをかぶせるとこんな感じ。所有欲を満足させる風貌です。

優しく光るよ、真空管
そして暖かく光る真空管が見えるのが本気の特徴。上記で紹介した操作ボタンでDACモードにするとこちらのヒカリは消えるという演出です。

商品説明サイトでの説明がこちらになります。”JAN6418 フルアナログアウトプット”のキャッチとともに「2つのアメリカ製レイセオン製 RAYTHEON JAN6418 ミリタリーグレードの小型直熱五極管NOS真空管を搭載。シングルエンド3.5mmとバランス4.4mmの両方で真空管またはトランジスタのトーン出力を実現」と説明されています。

試聴雑感
二つの新しいものを同時に試すとどっちの良さなのかわからなくなってしまうのでよろしくないということは十分にわかってはいるのですが、この組み合わせを楽しみにしていたということでお許しください。何を言っているのかというと、前回紹介させていただいた『TAGO STUDIO x 水月雨 MOONDROP / Harmon-SP』という木の温もりを活かした優しいIEMと、この真空管の包容力を一緒に組み合わせたらどうなるんだろう、、、というのが両方に手を出した経緯だったのです。なので、この組み合わせを今回のベースのレビューとさせてください。個人的には膝が砕けるほど感動したので…
こういったレビューの真似事みたいなことをしていると、どうしても左脳で音楽を聴こうとしちゃおうとするというか、スペックなどが頭に入っていて『こうあるはずだ』みたいな先入観とか、『やっぱりこうだったな』みたいなある種の誘導みたいなものがあったりして、素直に音を楽しむという『音楽』の原点を忘れてしまいがちだったりするんです。
もちろん今回も先入観やこうあるべき的な誘導があったことは事実でしょう。。。でも、そんなことはどうでも良くなりました。
『気持ちよかったんです』
『心地よかったんです』
『ずっと音楽を聴いていたくなったんです』
レビューのメモを取るなんてことはとうに忘れて、気が付けばソファーに横になって素で音に身をゆだねていた感じでした。なんて言ったらいいんでしょうか?
静電気除去スプレーをかけて一生懸命拭いたレコードに針を落とした瞬間とか、
オレンジのスポンジのオンイヤーヘッドホンでウォークマンをむさぼるように聴いていたときとか、
武道館で身体が揺れるほどの音量でライブを心の底から楽しんだときとか
そんなピュアな気持ち(と言ったら大げさに聞こえるかもしれませんが)で、気が付けばそのまま眠ってしまっていました。結構久々の感覚です。

ただこれだとレビューにならないのでどんな感じだったかというと、
- まず角の取れた圧倒的に優しい音に溺れます
- 音楽ジャンルによると思いますが、ボーカル中心のバラードやJazzは体に染みていく感じです
- 乾燥していない音、というか比較のために聴いたDACモードの音だとそっけない音に聞こえてしまいます
- また真空管オーディオ系にありがちなノイズ感は「一切ありません」でした。これが心地よさを倍増させた気がします
- 腹の底に来るように低音はなく、硬式野球の球ではなくテニスの硬式の球くらいに堅くない音がぶつかってくる感じです
- BT(LDAC)で聴いても、心配していた無線干渉によるノイズ感は聴き取ることができず、基本的に本機の本質である温かい音はおおむねそのまま無線上にも乗ってくるという気がします
- ただこれら「暖かい」的な感じが通常のデジタル機器と比して、「すんごい違いがある」ということは冷静になって「そんなにはない」と言っていいと思います
- ただ「角が取れて」「乾燥感も薄れて」「優しい、まさに優しい音」になります。すんごくではなく
内外のレビューを見ていても、結構変わるという方もいれば、それほどでもないよという方もいるので、イヤホンやヘッドホンとの相性、聴く音楽ジャンルによる違い、個人の感覚値など様々な側面での意見の違いは生じるのは無理ないと思います。
ただ当方が「Harmon-SP」で、ボーカル、バラード、Jazz中心に聴いた際は「リスニングはこれでもういいんじゃないの?」という感じになった感覚です。
ただ一言。。。
『嵩張る』
これ小さいスマホほどの大きさと重さがあるので、個人的には携帯して外で常用することは無いな、、、という感覚です。じゃぁ据え置きの真空管アンプ+密閉型ヘッドホンの組み合わせでいいんじゃない?という疑問は生じつつ、「じゃぁ、どういうシーンで使うんだ?」という問いには未だ答えを見いだせていないのはナイショです。

リゾートでビーチチェアに身を委ねながら。。。
ないない。。。。。。いや、ないないw
それでは今回はこの辺で。何か気付きなどがあればアップデートします。

コメント