日本ではほぼアマゾンでしか見かけない、形状からして少し古ぼったくも見えるトランスミッターだが、果たして非常に安定したLE audioトランスミッターとして手放しでおすすめできるトランスミッター界の異端児が現れました。

FlooGoo FMA120
FlooGoo・・・全く聞き覚えのない名称です。調べてみたところこれはメーカー名ではなくオーストラリアの会社 Flairmesh Technologies が展開しているブランド名のようです。製品ラインナップもまだ少なく、現時点では小規模技術集団といったところでしょうか。 この手のトランスミッターは中華製のものが多いためAliexpressなどで安く販売されていがちですが、前述の通りオーストラリアの会社の製品のため中華圏のサイトでは販売はされていないようです。日米のAmazonが日本から入手しやすいソースだと思います。アメリカアマゾンでは$47で販売、日本Amazonでは長らく1.5万円強ほどで販売されていましたが、現時点(12/2)では売り切れのようです。
うれしいことに、新しいパッケージへの展開が順次されており、そこには日本の技適マークが記載されています。

スペック
Chat-GPTさんにまとめてもらったスペック一覧がこちら。とにもかくにもこの“USB Type-A”の形状が一番個性光っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ブランド / モデル | FlooGoo FMA120 |
| Bluetooth バージョン / モード | Bluetooth 5.4 デュアルモード (Classic + LE Audio) |
| Bluetooth クラス / 出力 | Class 1, +15 dBm 送信, 感度 –97 dBm (BR) / –100.5 dBm (BLE 1M) |
| USB 接続 / インターフェース | USB-A プラグ。ホスト側 (PC / TV /スマホ等) に「USBオーディオデバイス (スピーカー/マイクチャンネル) として認識」される。追加ドライバ不要。 |
| 許可プロファイル (Bluetooth プロファイル) | Classic: A2DP, AVRCP, HFP 等。LE-Audio: Unicast (音楽・通話), Broadcast (Auracast / TMAP/PBP), Hearing-aid 対応。 |
| 対応コーデック | SBC, LC3 (LE Audio 用), aptX / aptX HD / aptX Adaptive / aptX Adaptive Lossless / aptX Voice/Lite。 |
| モード | High-Quality モード (音質重視)Gaming モード (低遅延 + マイク対応)Broadcast モード (Auracast 送信) / Relay モード (A2DP → Auracast 変換) / Receiver モード (他の Auracast を受信) |
| 遅延 (LE Audio Gaming モード) | 約 19.5 ms(Voice Back Channel 使用時は 20.8 ms)※FMB121 モジュールとの組み合わせ時値。 |
| USB 電力・消費 | 5 V / 100 mA USB オーディオとして動作。 |
| 本体サイズ / 重量 | 38.6 × 19.5 × 6.8 mm / 約 3.8 g |
| 動作温度範囲 | –40 ~ +70 °C |
| 認証 / 規格適合 | FCC、CE、RCM、RoHS 。Bluetooth SIG による Auracast Transmitter 認定。 FCC ID: 2A22WFMB120, Giteki ID (日本向け): 204-B01105。 |
| ホスト OS 対応 | Windows / macOS / Linux — ドライバ不要で USB オーディオとして認識。 |
| 専用アプリ | FlooCast (Windows, macOS, Linux 向け) にて、ペアリング管理、モード選択、ファームウェア更新、Broadcast 設定など操作可能。 |
| ファームウェア更新 | FlooCast 経由、PC(Windows ネイティブ環境)必須。クラウド同期フォルダ経由や日本語パスを避けるよう注意。 |
| 主な用途 / 特長 | ・PC / TV / スマホなどを「Bluetooth オーディオ送信機」にアップグレード・LE Audio / Auracast による放送や補聴器連携・aptX Adaptive / Lossless による高音質再生・低遅延でのゲーム / 通話用途・Relay(A2DP→Auracast)/Receiver(Auracast 受信)など多用途運用対応 |
BTコーデックはLDACじゃなきゃ!という層の方にはLDAC非対応というところが残念なところですが、
- LE audioを真正面からサポートしていること
- FWアップデートがとにかく頻繁で相性問題などに真摯に取り組んでいるように見えること
スペック表には表れない上記のこの2点が実のところこの製品の一番の大きな特徴のように思えます。ご存じの通りLE audioについてはQualcomm送信側と非Qualcomm受信側(イヤホン等)との相性がすこぶる悪く、業界標準でありながらもメインストリームに上がり切れないLE audioのもどかしさを多くの人が感じています。このFMA120はチップセットを明示していませんが、aptX Losslessをコーデックサポートしていることから恐らくQualcommチップを使用していることが推測できますが、もしかすると非Qualcomm製品との互換性を果敢に挑戦するためにSnapdragonサウンド認定などをあえて問っていないという見方もできるかもしれません。
実際後述のQualcomm Snapdragon Sound S5搭載のCleer Arc 5とLE audioで接続すると、以前ご紹介したQualcomm独自のLE audio on aptXともいえる”aptX Lite”表記での接続となりました。
なお現時点でのサポートデバイスが記載されていたので転載しておきます。
aptX Lossless
- Bose QuietComfort Ultra
- Bowers & Wilkins Pi8
- Creative Aurvana Ace 2
- Denon PerL Pro
- Earfun Air Pro 4
- NuraTru Pro
LE audio
- Samsung Buds 3
- Samsung Buds 2 Pro / 3 Pro
- Sony LinkBuds S
- Inzone Buds
- WF-1000XM5、WH-1000XM6
- Creative Zen Air Pro
- Technics EAH-AZ100
- Xiaomi Redmi Buds 6 Pro
アプリ
USB Type-Aの形状であるからと言ってスマホと接続できないわけではないですが、あえてType-Aの形状を選択していることと、専用アプリがスマホ用にはなくメインリーPC用のアプリが提供されていることを鑑みるとモバイルではなく据置機系での使用が想定のスタイルなのでしょう。メーカー側が提供しているアプリの状況は以下の通りのようです。

当方Windows PC経由でのみしか試せていませんが、機器との接続、コーデック変更、FWアップデートなど、様々なトランスミッターアプリ市場一番の安定性と機敏さを感じました。

このアプリ経由で上記ARC5を1日半ほど使ってみましたが、接続自体もaptXおよびLE audioともども非常に安定していました。“aptX Lite”接続でBluetooth接続遅延確認動画などを見てみましたが、近くできる遅延は読み取れませんでした。aptX Lite対応デバイスでは19.5msの低レイテンシー接続可能とのことです。
モバイルサイドですが、FMA120 は、スマホをAuracast レシーバーに変えることができます。携帯電話のスピーカーで近くの公共放送を聞いたり、Bluetooth デバイス (ヘッドセット、イヤホン、スピーカー) に転送したりできます。つまり単なるトランスミッターだけでなくれしばーとしても活用され、このAuracast Receiver用のアプリはAndroid/iPhone用に提供されています。
(まとめ)安心・安定のLE audio伏兵トランスミッター登場か?
Fiio BT11, Fiio Air Link, Creative BT-W6, Epfun… 数多くのトランスミッターが世に出てきてはどれにも決定打が無く覇者が現れていないカテゴリーのように見受けられます。このカテゴリーで一番に求められる接続性と安定性。とりわけLE audioの相性問題には誰もが頭を抱えがちです。そこに「真面目な技術集団」がマーケティング性などは二の次にこの『接続性・安定性』に果敢にチャレンジしている製品を出してきました。FWを共有する姉妹製品としてイヤホンジャック経由などのトランスミッターにもなる”FMA121″という製品も既に米国市場で販売されています。このFlooGooの今後の商品展開に目が離せません。


ということで速報版でした、また!




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