前回のブログではTONALITEの概要を紹介したが、今回は体験記として実際にトナリテの目玉であるパーソナライゼーションを実践し、その効果をマジレビューしていこう
前回のおさらい
ここで再び語るわけではないが、前回『TONALITEとはなんぞや?』を多少紐解いたので、まだご覧になっていない方は一度前編をご確認いただけたらと思う。
個人性適用新技術DTAS体験レビュー
DTASとは?
ということで、前編の続きとしてここから本機の目玉でもある、パーソナライゼーション技術『DTAS』を実際に試してみたので、それをご紹介しよう。そもそもDTASとはなんぞや?ということだが、finalの長年の研究の結果編み出した『ヒトが耳だけでなく、体で感じていた”音色”』を個人個人の特性に合わせてプロファイリングする技術のようだ。
おおざっぱにプロセスを言うと、専用のアプリと個人のスマホを用いて頭や耳をスキャンし、それに基づいた仮設定の『音色』をプロファイリングして提供。それを個人が通常使っている音楽ソフトや良く聴いている音楽を流して、プロファイルが提示する『音色』で仮試聴し、多少の調整を経て最終的な『あなた特有の音色』をプロファイルとして設定するというものだ。
実際にやってみた
実際に使用するのは、
- 個人のスマホ(Android/iPhone)
- TONALITE専用アプリ(要ダウンロード)
- TONALITE本体
- 製品付属のヘヤーバンド
- 製品付属のQRコードシール


手順を一から丁寧に、、、とも思ったが個人をさらけ出すのもアレなので、同様の手順をさすがプロの記者という感じで綺麗に記事化されているので、こちらのAV Watchの記事を参考してほしい、、、


当方では、アプリ画面をかいつまんで紹介してみよう。なお今回の先行レビューの製品梱包に同梱されていたメーカーからの手紙によるとアプリは『βテスト版』であり、今後アップデートしていくとのことだ。実際初めてアプリと製品本体を繋いだ際にさっそくファームウェアのアップデートがあった。 製品の稼働自体もまだ改善を模索中とのことで、LDACの接続安定性やアプリや製品の挙動の安定化を進めているとの事だった。
[アプリ上でサンプル写真と共に進めていく。NGチェック付きなのでわかりやすい]

[写真スキャンはスマホの前面カメラを使う。タイミングをブルブルで伝えるので横を見ていても安心]

[スキャン終了後にサーバーサイドで計算が入るが1分弱で終了。次はイヤホンをはめて反響音チェックだ]

[反響音チェックはイヤーピース有り無しの2回おこなう。これはそれぞれ5分弱待った]

[ここではローカルですることは無いが、サーバーサイドでバーチャルダミーを作って計算しているらしい]

[これにて仮の個人専用プロファイルが完成したようだが、次で個人の最終嗜好チェックが入る]

[ユーザーの実際の試聴環境をベースとして2度チェックが入り、(-/デフォルト/+)の3種類の調整プロファイルが出来上がる。基本的には楽曲に合わせてこの3種類から好きなのを選んでね、ということだ]

[これにて設定行程は終了。あとは試して不満だったら再調整という感じ。このプロファイルはデフォルトで音質優先のノイズキャンセリングモードが使われるようだ]

とここまで30分弱位かかっただろうか。期待値が高いが故かさほど時間がかかっている感は少なかった。全ての工程において画像やプロセスの説明などが丁寧に掲載されていたので特に行程上で困ったり失敗することは無かった。 ・・・ そしてついにその時は来た。
個人性適用新技術DTASの効果の程は如何に??
DTAS調整画面
そしてこれが実際にTONALITE専用アプリを使ってDTASを使う画面。・・・ ま、なんというか割とシンプルな画面ですな。

- General: 調整前の設定
- Personlized: 個人専用の『音色』
- -2
- デフォルト
- +2
この個人専用の音色に対して3種類の『音質係数』をベースとしたプロファイルが用意されている。どれが良くてどれが悪い、どれが本物、ということは無く『コンテンツに応じていちばん心地よいものを選択してください』とのことだ。
但し楽曲ごとにどのプロファイルを選んだかなどの履歴や紐付けが残るわけではないので、デフォルトの『音質係数』が最大公約数で一番気持ちよくなる、または一番聴く曲調でデフォルトを合わせるというのが現実的にはなると思う。
試聴後の個人的感想・私見・主観
もちろんこういったパーソナライゼーションへの好き嫌いや、プラシーボ効果、『フラット至上主義』など様々な要因で個人的主観が変わってくると思うが、当方が忖度なく瞬間的に感じたのは、、、 (メモに感想を残しておいた)
- 粗かった粒子が晴れて微細化していったよう
- AIで古い写真を現代的に変えてくれた感じ(良い意味で)
- 天井が拡がった感じ、Generalに戻すと逆に天井が下りてせませまになる感じ
- 引っ込んだボーカルや中域音が前に来て定位置に収まった感じ
- 曇天から晴れ間に変わった感じ
- 音に立体感が生まれたよう
- 音やボーカルが粒立ちというかくっきり存在感が際立つ感じ
- 横の広がりが生まれたのはもちろん、奥行きも強く感じられるようになった 3D感?
- 男性(Ed Sheeran)で調整したからか、女性Vocal(Aliana Grande, Sarah Brightman)などを聴く際は音色係数を少し上げたほうが心地よかった
- 曲ごとの係数の好みを保存できるわけではないので、一番聴くジャンルでデフォルト調整すべき
- UAPPでも試したが同様な改善傾向がみられた
- Elvis CostelloのVeronicaを聴くと、オリジナルからパーソナルへ切り替えると蚊帳のような薄衣から出てきて尾っぽ手前で謳ってくれている感じ
- 同じアーティスト(MichaeL Jackson)の曲でも係数が高い方がしっくりくる曲と、高くしたくなる曲がある
- 流して聴くことを考えるとデフォルト係数を大切にしたいので、調整する際の音源選びは何度か試して傾向を把握してみたい
- NuraTru Proの時もそうだったが、パーソナライズ後の音がしっくりしすぎて、オリジナルの音を恣意的に籠らせて聞かせている気にさせられる
- 効果を高くした際のサ行のささりなどとの境いが気になる時もある
- つまり万能ではないがおおむね+方向への改善を感じた
つまりべた褒めである。
割とこの手には甘い感想を持つが故か。。。 ただし『ガチである』という言葉を信じると前出のAV Watchの記事でもかなりべた褒めなので、あながち偏った意見ではないのかなとも思う。
Dolby Atmos楽曲への効果は?
立体音響モードで作られた楽曲への影響はどうなのだろうか? その答えはfinal自身も回答している。

『つまりイマーシブバイノーラルサウンドでは、その空間印象は保たれたまま、音色だけが改善されるため、より自然な音色で空間印象を楽しんでいただけるようになります。』とのことだったが、自分でも試してみた。
Dolby Atmos楽曲を対応アプリであるTidalで聴いてみた。ただしTONALITE自身がイマーシブオーディオやDolby Atmos対応機器ではないため、TONALITE経由で聴くDolby Atmosが本当にDolby Atmos効果ありの曲になっているのかという疑問は大いに残ったままではあるが。 結果は他の一般楽曲とあまり変わらないというか、3D効果自体は専用機器の方がやはり感じる(TONALITEdeha3D感は薄い)気はする。一方で各ボーカルや楽器などの粒立ちはTONALITEの方が強いので、
- 3D立体感を楽しみたい方は専用機器で
- TONALITEならではの粒立ちを感じたい場合は通常楽曲をTONALITEで
というのが個人的感想だ。
【緊急特別実験】若い娘でも効果はあるのか?
最後に緊急特別実験wとして、高音が聴こえなくなったおっさんだけでなく、モスキート音やネズミ除け音でもんどりうつ若い子でもこのDTAS効果があるのかを試してみた!www
ま、20代の娘に試してもらったというだけで、こういった音響系に造詣は全くなく、イヤホンも聞こえればよいという程度の最近の若い子の感覚の持ち主であるので効果の程をあまり期待せずに試してもらった。TONALITE専用アプリには、メインユーザー以外にも”Guest Profile”として一つの”音色係数”(一種類のプロファイル)だけではあるもののこのDTASを試せるモードが付いている。上記画面を参照してほしい。

結果は・・・ あくまで個人談ではあるものの、、、
- 奥行きっていうか奥に広がった感じ
- 真ん中が前の方に来た
- 音がきれいになった
と、どの程度の効果があり、世代間の違いははっきりとは判らなかったが、但し『明らかに効果はあった』というのが実験の結果だった。あまり効果は事前説明せずに行ったのでプラシーボ効果はさほどないはずである。つまりこのDTASというのは聴こえない音を補完する的なEQ設定という訳ではなさそうだという実感だ。final自身もDTASはEQではなく、かつ汎用ではない個人専用のハーマンカーブを作り出すと言っている。

また、この20代の子用に作られたプロファイルで当方おっちゃん耳で聴いてみた、、、 ちょっと高音がとがっているように感じた。おっちゃんが若い子のプロファイルで聴くと高音などが物足りない音になっていると思っていたのが反対に逆に刺さり気味になったのが面白い気付きだった。
まとめ 「39,800円(クラファンだと-20%)の価値があるか??」
価値はその人の主観によって異なる。その人のプライオリティによっても異なる。よって万人への答えは用意できないが、少なくとも特にfinalに思い入れもなく、自腹購入なので忖度もない当方、かなりA&V嗜好の高い当方にとっては、、、 投資に値するものだった、と感じた。
「良い音ってなんだ? 」という不朽の問いを考えざるを得ない製品である。もちろん高いからよい音ってわけではなく、好きなメーカーだから、売れている製品だからって万人にとって良い商品、良い音の鳴る製品ってわけではない。当方はどちらかというと「感覚派」なので、理論的にどうだというよりも聴いて「気持ちよい音を奏でる」製品が好きだ。もちろん「気持ちよい音を気持ちよく聴けるか」つまり装着感なども大いに気になる。そういった意味では、
- 当方にとって「気持ちよい音を奏でる」
- 装着感も悪くない
- 商品の触感、所有感も悪くない
- 付属のイヤーピースも気持ちいい(大事)w
ということで、「お気に入り」上位に食い込んだ製品となった。
願わくば、
- アプリUIの更なる洗練化
- 各曲ごとにお気に入りの音質係数で楽しんでね、というのであれば各曲ごとに適用できる仕掛けを用意してほしい
- 次作は本体の更なるコンパクト化希望
- Dolby AtmosやTHX, dtsXなどの立体音響モードへの積極的チャレンジ
- 低価格化w
これらが次回作やアプリのアップデートに反映されればと思う。
しかし、TWS領域の技術の高止まり化というか、製品の画一化が進んできてしまっている今への、果敢なるチャレンジとして本製品に対してかなりの賞賛を個人的には与えたいと思っている。オーディオ業界の高音質化はある程度まで行くとオカルト化というか感覚的な領域への神的アプローチに近い製品差別化に進みがちではあるが、こういった『個人最適化』への挑戦は別アプローチで非常にウェルカムだ。
TONALITE 2がどのような製品になるのか、今から楽しみである。w
それでは今回はこの辺で。気になったら12月後半までのクラウドファンディングを試してみてはいかがだろうか。アフィじゃないですよw
それでは!




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